『子どもの生まれながらの権利』
すべての子は、泥んこになって遊び、小川の水をはねかえし、小鳥のうたう、神を讃える歌を聞く喜びを知らなければならない。
夜明けや日没のひととき、えもいわれぬ輝きにいろどられる大空、すてきな宝石のきらめく、朝露の下りた朝の景色、星が息づき、またたく、広い夜の空を眺めなければならない。
子どもは、花や蝶など寓話の世界をつくり出した野生の生きものと、一緒に生活しなければならない。
子どもは、はだしで歩き、雨に打たれ白樺の木にまたがり、松の枝を滑りおり、山や高い木によじ登り、すき透った水の中に頭から飛び込むスリルを味わなければならない。
湿った大地、刈り取ったばかりの草、甘いシダ、ハッカ、モミの木、家畜の吐息、海から入り江に吹き込む霧のにおいを知らなければならない。
そして、木々が雨や風に答える言葉、さざ波や滝の音、嵐の海のたけり狂う声を聞かなければならない。
子どもは、魚をとり、干草の山にのり、野営し、たき火で料理をし見知らぬ土地を歩きまわり、大空の天井の下で眠る機会を持たなければならない。
若い頃に、自然の世界と祝福された生活を楽しんだことのない者は、自然、小説、歴史、絵、それから音楽ですら、すみずみまで理解し、そのよさを味わうことはできないのである。
ヘンリー・ターナー・ベイリー:1964年米国教育協会議事録より
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